魔王と魔法使いと失われた記憶
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418: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/16(金) 18:58:08.32 ID:fQT6VlPqO
刃はエリックの短剣で受けられた。すかさず蹴りを放つけど、それは空を切る。

「おいおい、加減してくれよ?殺すと俺まで逝く」

「知らんな。にしても」

彼らの周りを、7人ぐらいの娼婦たちが取り囲む。どうするの?

「プルミエールッッ!」

教授が叫ぶ。そうだ、こっちにも人が来てるんだった!!

一斉に、ワイルダ組の人たちが襲い掛かってくる!
特にラファエルさんは速いっ!最優先で止めないと……!!


「ぐおおおおっっっ!!!」


まるで剣のような爪が、目の前に迫る!


「『幻影の矢(ミラージュ・ボルト)』!!」

彼の顔に矢が直撃する。「うおおおおっ」という叫びと共に、ラファエルさんは踞った。
でも、その背後からは……デボラさんの弟が!?


ボゴォッ


誰かが彼を吹き飛ばす。……え。


「シェイド君!!?」

「何ぼーっとしてるにゃ??まだまだ来るにゃ!!」

そう言うと、シェイド君はオーガの大男を右拳の一撃で昏倒させた。魔法で膂力を大幅に高めてると、私は直感した。

「う、うんっ」

魔力はかなり使っちゃってるけど、何とかしなきゃ。私は出力を抑えた「矢」を次々と放っていく。

それにしても……強い。向こうで大勢を相手に立ち回っているエリックやランパードさんはもちろんだけど、シェイド君もこんなに強かったんだ。

そして、何より……

「『石の弾(ストーン・バレット)』」

教授の周囲で浮いていた幾つもの石礫が、まるで弾丸のように放たれた。それらは的確に、ワイルダ組の人たちや娼婦の脚に当たっていく。
致命傷じゃない。でも、動きを大きく制限するには、十分な打撃だ。この人たちに罪はないから、足止めに特化してるんだ。

ただの、優しくて優秀な指導教官だとばかり思っていた。しかしこれは……


間違いない。アリス・ローエングリンは、とても戦い慣れている。





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