魔王と魔法使いと失われた記憶
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30: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:07:27.15 ID:S0Anv1g5O


「動くな」


黒装束の男が2人。そしてそのうちの1人は、私の背中に剣を突き付けている。


「…………え」

「叫ぶな。叫んだり声を出したら殺す。大人しく我々についてこい」

「……何者、なの」

酔いが一気に抜けていくのが分かった。まずい。これは、まずい。
でも、魔法を使っても……詠唱している間に刺されるだろう。もちろん、私に武術の心得なんて、ない。

黒装束の男は、底冷えのする声で告げた。

「お前に言うことはない。ただ、ついてくればいい」

「……何を、しようと、いうの」

歯がガチガチと震える。目からは涙が溢れてきた。


そんな。こんな所で、私は……殺されるの??


男は何も言わず、剣をさらに突き付ける。プツ、と制服のローブが貫かれる音がした。


「お前が知る必要もない。今殺されたいか?」


足に力が入らない。絶望で、私はその場に座り込みそうになった。




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