中野渡頭取が異世界に転生して2年で皇帝になるようです
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2: ◆vpczxvWPaU[sage]
2020/07/31(金) 03:16:55.25 ID:eItywkl10
街の外では行商人や農民が城壁の入り口へと殺到していた。
城門の衛兵と激しく口論しているものもいる。
中野渡がその口論に聞き耳を立てているとそばの農民がしゃべりかけてきた。

農民A「おめさなんだその格好は? へんてこな格好してるだなー。どっかの貴族様け? それにしちゃお供もつけてねぇしそりゃねぇか」
中野渡「・・・」
農民A「愛想のねぇやつだなー。もしかしておめーも焼け出されてここに流れてきたんけ。お互い大変だのー」

どうやらこの城壁都市の名前はウィンザリアというらしく、
目下のところ戦火が近いらしく方々で戦争の火の粉を浴びたり略奪にあったりした領民が
このウィンザリアに流れ込んでいるらしかった。
しかしまずい事態だと中野渡は思った。戦火の進捗度合いにもよるがこのような農民が焼け出されているということは
農作物の生産能力に打撃が発生している可能性が高い。
その場合は農作物の値段が跳ね上がっている可能性があり先物取り引きによる買占めの発生、
またそれによる経済の資金繰りの収縮が発生しかねない。
それはピンチではあるが同時にチャンスでもある。

中野渡「ところであなたはどの程度遠方からこちらへ?」
農民A「ワシか? ワシしゃぁこのウィンザリアのだ〜いぶ西からだべ、西の山脈に近い街だったんだがちょっとキナくさくなってきての〜」
中野渡「ふむ」
農民A「でんもここにはあまり期待できんかもしれんぞ。よそにいったほうがいいかもしれん。さっきから衛兵がだ〜れも通さん。ありゃ領主に通すなといわれとるな」

 中野渡が城門のほうを見ると、フルアーマーの騎士たちが衛兵にかけあっているが衛兵達はガンとして騎士たちを拒んでいる。
 この農民がふてくされるのもなるほどわからないでもない。

中野渡「なるほど、ではとりあえず街に入るとしましょう」
農民A「へぇ? おめさワシのいったこと聞いとったんか?」
中野渡「あなた、バンカーにとって重要な資質はなんだと思いますか?」
農民A「は? バンカー? おめさなぁにいってんだ?」
中野渡「バンカーに必要な資質は、人を見る目です。金勘定は二の次だ。人の持つ資質を正しく見抜けば結果は後からついてくる」

 中野渡はそういうと衛兵たちに押し戻された騎士たちのほうへ歩いていき、その中の一人に話しかけた。
 すると怪訝な顔つきをしていたその騎士はハッっとした顔になり、次に城門の衛兵のほうへ駆け寄ると衛兵たちに話を伝えた。
 すると衛兵たちが顔を見合わせ中野渡と農民Aのいるほうに走ってきた。

衛兵A「どうも失礼いたしました! どうぞおとおりください!」
中野渡「結構。では参りましょうか」
農民A「はぇ? あ、あぁ・・・」

 こうして中野渡と農民Aは城門を通過してウィンザリアの街へと足を踏み入れた。二人の背後ではまだ衛兵が頭を下げている。
 




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