エーミール「そうかそうか、つまり君はそんなやつなんだなッッッ!」
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1
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:14:19.96 ID:I1u0gJJC0
ある日、私は家に友人を招待していた。
私「実は最近、蝶集めをやってるんだ」
友人「ほう……ぜひ見せてくれないか?」
私「いいとも!」
私の「蝶集め」という言葉で、友人の目に殺気が宿ったのを、私は見逃さなかった。
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2
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:14:55.99 ID:I1u0gJJC0
私「これは、ワモンキシタバという蛾で、ラテン名はフルミネア」
私「ここらではごく珍しいやつだ」
友人「…………」ビキビキッ
以下略
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3
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:15:23.69 ID:I1u0gJJC0
グワシャッ!!!
友人のエルボーは、私のコレクションを一撃で粉砕してみせた。
以下略
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4
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:16:09.23 ID:I1u0gJJC0
友人「君の収集をよく見なかったけれど──」
友人「ぼくも子供の時、蝶集めをしていたのだが」
友人「残念ながら自分でその思い出を汚してしまったのだ」
以下略
AAS
5
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:16:38.74 ID:I1u0gJJC0
ぼくは10歳ぐらいの頃、蝶集めに熱中していた。
熱中しすぎて、ぼくの平熱は50℃近くにもなっていた。
人間が生きていられる体温ではないが、ぼくは気合と根性で生き長らえていたのだ。
以下略
AAS
6
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:17:12.82 ID:I1u0gJJC0
言うまでもなく、蝶というのは危険な生物である。
体内には成人男性500人は殺せるという猛毒を持ち、羽ばたき一つで風速100m/sもの突風を巻き起こす。
以下略
AAS
7
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:17:55.68 ID:I1u0gJJC0
あの日、ぼくは友人とともにコムラサキと対峙していた。
級友A「がはっ……!」ドサッ…
級友B「ぐはぁっ!」ドザッ…
以下略
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8
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:19:31.98 ID:I1u0gJJC0
リズミカルなフットワークで、ぼくは一気に間合いを詰める。
ぼく「シッ、シシィッ!」
以下略
AAS
9
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:20:01.10 ID:I1u0gJJC0
ぼく「もらったァッ!」
ボッ!!!
全体重を乗せた右ストレート。
以下略
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10
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:20:35.09 ID:I1u0gJJC0
ぼく「あ、あぐっ……」ガクガク…
この一撃で、ぼくの両足は崩れかけのジェンガのように頼りないありさまになった。
人間サンドバッグです、どうぞご自由にお殴り下さい、と我が身を差し出しているようなものだ。
以下略
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11
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:21:30.75 ID:I1u0gJJC0
だが、すかさずぼくはコムラサキの右腕に飛びついた。
コムラサキ「!?」
ぼく「腕ひしぎ十字固め……東洋の神秘、ジュージュツの技(テクニック)さ」
以下略
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12
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:22:01.46 ID:I1u0gJJC0
ぼくは、コムラサキの背後に回り込むと、チョークスリーパーを決めた。
むろん、狙いは窒息ではなく、首の骨。
ぼく「チェックメイトだ」
以下略
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13
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:22:33.30 ID:I1u0gJJC0
こうして、ぼくの蝶コレクションに“コムラサキ”が加わった。
ぼく「…………」ニタァ…
以下略
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14
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:23:08.06 ID:I1u0gJJC0
自慢したい……ッッッ
東洋の人気コミック『DORAEMON』には、スネオ・ホネカワという自慢話が好きなキャラクターがいるらしいが、
以下略
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15
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:23:49.55 ID:I1u0gJJC0
エーミール──
この少年は、非の打ちどころがないという悪徳を持っていた。
以下略
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16
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:24:19.56 ID:I1u0gJJC0
すなわち、この戦いは──ホネカワとデキスギの代理戦争である。
かつての冷戦で、東側と西側が争ったように、ぼくとエーミールも争うのだ。
以下略
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17
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:25:01.82 ID:I1u0gJJC0
さっそく、ぼくはエーミールにコムラサキを見せた。
ぼく「どうだい? コムラサキだ、珍しいだろう」ムフッ
以下略
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18
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:25:28.81 ID:I1u0gJJC0
展翅の仕方が悪いとか、右の触角が曲っているとか、
左の触角が伸びているとか、足が二本かけているとかいい、
そのうえ、そもそもこれはコムラサキではないというもっともな欠陥を発見した。
以下略
AAS
19
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:25:59.57 ID:I1u0gJJC0
一通りの評論を終えると、エーミールはいった。
エーミール「どうだろう」
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20
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:26:35.17 ID:I1u0gJJC0
ぼくは愛しいコムラサキと引き換えに手に入れた大金で豪遊しながら、エーミールを憎んだ。
ぼく(エーミールのヤツ……許せない!)
以下略
AAS
21
:
名無しNIPPER
[saga]
2020/07/12(日) 12:27:02.16 ID:I1u0gJJC0
それから二年後──
町じゅうにあるウワサが広まった。
以下略
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