7: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:13:03.27 ID:sxzhAsQM0
「確かに、貴方と過ごした時間は――幸せ、だった。……それは認めます」
「でも……でもっ!!」
「散々幸せを与えておいて……最後の最後で不幸のどん底に突き落とすなんて」
8: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:14:31.60 ID:sxzhAsQM0
「……本当は、知っていたのに。いつかこんな日が訪れるって、解っていたのに……!」
「艤装を解体しても……あなた達とわたし達の間に……」
「貴方と私の間に流れる時間が違うことに、気づいていたのに……」
9: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:15:20.43 ID:sxzhAsQM0
――……ごめん。
「謝るくらいならっ! どうにかして! ……もっと……側に居て頂戴よ……」
「一年でも……半年でも……みつき、ふたつき……ううん、ひとつきだけでもいいから」
10: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:16:10.31 ID:sxzhAsQM0
――…………。
「謝らないでよ……。貴方が胸を張っていてくれないと……私、後悔してしまいそうになるから……」
――……そうだよな。ごめ……じゃなくって……。
11: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:17:07.74 ID:sxzhAsQM0
――今こうして、お前に悲しみを背負わせてしまっているけど……。
――最後にこうなると解っていても、俺はお前に構って、惹かれて……やっぱり一緒になっていたはずだ。
――例えお前に百の不幸を与えることになっても……その間に九十九の幸せを与えてやりたい、そう思っていた。
12: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:17:55.65 ID:sxzhAsQM0
「勝手なことばかり……貴方のそういう所」
――が、好きなんだろ?
「……本当に、勝手な男」
13: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:18:52.81 ID:sxzhAsQM0
「自分勝手で大嘘吐き。私を騙して……私の、何もかもを奪ったくせに」
「それなのに笑顔で看取られようなんて……傲慢よ」
――流石。俺以上に、俺のことを解ってくれてる。
14: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:19:45.82 ID:sxzhAsQM0
「苦しんで、苦しんで……待っていなさい」
――……?
「いつになるか解らないけど……私は必ず、貴方を追っていく」
15: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:20:43.30 ID:sxzhAsQM0
「私を幸せにできるのは、貴方だけなのでしょう」
「だったら、貴方の隣以外のどこへ行ったって、私に待つのは不幸だけよ」
「天国なんて願い下げだわ……。貴方がいないのが解っているのに」
16: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:21:38.94 ID:sxzhAsQM0
「私は――鬼の山城よ。鬼には地獄が似合いでしょう」
――…………ははっ。
――これは……恐い鬼に睨まれてしまったな。
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