1: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:06:47.35 ID:sxzhAsQM0
4年ぶり12作目
短いです
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2: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:08:05.34 ID:sxzhAsQM0
「……はぁ」
――こんなにいい日和なのに、溜息か?
「何だ……起きてたの」
3: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:09:17.74 ID:sxzhAsQM0
「ええ……。小さな女の子と母親らしい女性が、波打ち際を歩いていました」
――そうか……。
「静かな海……あの頃は、想像したこともなかったわ」
4: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:10:08.34 ID:sxzhAsQM0
――なあ、山城。
「……何ですか」
――ひとつ聞いておきたいんだが。
5: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:10:58.83 ID:sxzhAsQM0
「……ふふ……今更そんなことを聞くのね」
「決まりきってるじゃない。とっても……」
「とてもとても…………」
6: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:11:54.44 ID:sxzhAsQM0
「貴方の嘘に騙されて、一緒になったばっかりに……」
――騙したなんて、人聞きの悪い。
「だって、その通りでしょう」
7: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:13:03.27 ID:sxzhAsQM0
「確かに、貴方と過ごした時間は――幸せ、だった。……それは認めます」
「でも……でもっ!!」
「散々幸せを与えておいて……最後の最後で不幸のどん底に突き落とすなんて」
8: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:14:31.60 ID:sxzhAsQM0
「……本当は、知っていたのに。いつかこんな日が訪れるって、解っていたのに……!」
「艤装を解体しても……あなた達とわたし達の間に……」
「貴方と私の間に流れる時間が違うことに、気づいていたのに……」
9: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:15:20.43 ID:sxzhAsQM0
――……ごめん。
「謝るくらいならっ! どうにかして! ……もっと……側に居て頂戴よ……」
「一年でも……半年でも……みつき、ふたつき……ううん、ひとつきだけでもいいから」
10: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:16:10.31 ID:sxzhAsQM0
――…………。
「謝らないでよ……。貴方が胸を張っていてくれないと……私、後悔してしまいそうになるから……」
――……そうだよな。ごめ……じゃなくって……。
11: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:17:07.74 ID:sxzhAsQM0
――今こうして、お前に悲しみを背負わせてしまっているけど……。
――最後にこうなると解っていても、俺はお前に構って、惹かれて……やっぱり一緒になっていたはずだ。
――例えお前に百の不幸を与えることになっても……その間に九十九の幸せを与えてやりたい、そう思っていた。
12: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:17:55.65 ID:sxzhAsQM0
「勝手なことばかり……貴方のそういう所」
――が、好きなんだろ?
「……本当に、勝手な男」
13: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:18:52.81 ID:sxzhAsQM0
「自分勝手で大嘘吐き。私を騙して……私の、何もかもを奪ったくせに」
「それなのに笑顔で看取られようなんて……傲慢よ」
――流石。俺以上に、俺のことを解ってくれてる。
14: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:19:45.82 ID:sxzhAsQM0
「苦しんで、苦しんで……待っていなさい」
――……?
「いつになるか解らないけど……私は必ず、貴方を追っていく」
15: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:20:43.30 ID:sxzhAsQM0
「私を幸せにできるのは、貴方だけなのでしょう」
「だったら、貴方の隣以外のどこへ行ったって、私に待つのは不幸だけよ」
「天国なんて願い下げだわ……。貴方がいないのが解っているのに」
16: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:21:38.94 ID:sxzhAsQM0
「私は――鬼の山城よ。鬼には地獄が似合いでしょう」
――…………ははっ。
――これは……恐い鬼に睨まれてしまったな。
17: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:22:27.54 ID:sxzhAsQM0
――望む所だ。……山城。
「何?」
――やはりお前は、笑顔が一番綺麗だよ。
18: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:23:19.68 ID:sxzhAsQM0
――その程度で満足するなよ。今度逢う時は……もっと……。
「……当然よ」
――楽しみにしてろ。……じゃ、一足先に行ってるぞ。
19: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:24:06.30 ID:sxzhAsQM0
「――さようなら」
20: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:24:48.27 ID:sxzhAsQM0
「また逢う日まで――」
21: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2020/07/11(土) 00:25:42.63 ID:sxzhAsQM0
終わります。ありがとうございました
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