44: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2020/07/05(日) 04:17:14.99 ID:4Jd3JNMn0
うい「わぁっ! 広い! 見渡す限りの広い草原が広がってる!」
いろは「すごく開放的です。神浜にこんな広い場所があったんですね。あっ、富士山も見える」
十七夜「ああ、東側は開発が遅れているからな。そのおかげで良くも悪くも自然が残されている。だから西や南では見られない珍妙な野生動物をたまに見かける」
うい「あっ! なんか大きい鳥さんがいる!」
灯花「わたくし知ってる! あれはクジャクのメスだにゃー!」
ねむ「違うっ、オオミチバシリだ!」
桜子「 |雉だよ| 」
うい「あっ、あれってハクビシン?!」
灯花「アライグマだにゃー!!!!」
ねむ「イタチじゃないかな?!?!?!」
桜子「 |タヌキだよ| 」
十七夜「昔はイタチはもちろん、ウサギやキツネも見かけたんだがな。宅地開発が進んでからはほとんど見なくなったな。今は数少ない生き残りのハクビシンやタヌキがこの辺りで細々と生き残っている印象だな」
いろは「十七夜さん。向こうにすごく大きな五重塔みたいな建物がありますけど、あれはなんですか?」
十七夜「あれはホテルエンパイアという建物で、ドリームランドという遊園地だった場所にあったホテルだ」
いろは「遊園地、だった・・・?」
十七夜「ドリームランドは1964年に開園した遊園地だ。当初は日本のディズニーランドを目指すという構想に基づき、広大な敷地にボウリング場、プール、スケート場、周遊ヘリコプター、カラオケ、ショッピングモール、映画館まで備えた巨大レジャー施設だった」
十七夜「だが、周囲を見て分かる通り、この辺りは鉄道が無くアクセスが悪い。車やバスで来るにしても、県内屈指の渋滞地である原宿交差点を通らなければならない。そんな陸の孤島状態を解決するために、県の大動脈である東海道線の大船駅から、遊園地を結ぶモノレールを建設したんだが・・・」
十七夜「当時はモノレールブームだった。モノレールに乗れることを多くの者が期待した。なによりモノレールによって東京へのアクセスが格段に向上する。更にドリームランド以北への延伸の構想もあって、ドリームランド周辺は宅地開発が進み、そこへ大勢の移住者が来た」
十七夜「しかし、建設されたモノレールには技術的な欠陥があって、開業後1年足らずで運行停止処分を受けてしまった。その後もドリームランドは陸の孤島状態が続いた」
十七夜「それでも敷地の一部を売り払うなどしてなんとか経営は続けていたが、バブル崩壊に東京ディズニーランドや八景島シーパラダイスの開業で客足は更に遠のいて、2002年にドリームランドは閉園した」
いろは「そうなんですか・・・。それじゃあ、今はあのホテルだけが残っているんですね」
十七夜「ああ。だが今はホテルではなく大学の図書館として再利用されている」
十七夜「以前は本当の五重塔のようなひさしが、上下に幾重にも連なっていたんだが、落下の危険性があるということで全て取り払われることになった。だが、ドリームランドの趣を残してほしいという地元住民の要望があって、今はあのように一番上のひさしだけが残されている」
十七夜「そういった要望が出るほどには、地元住民のドリームランドに対する期待は大きく、そしてなにより多くの人に愛されていたんだ。日本で初のアトラクションも多数あって、遊園地としては楽しい場所だったしな」
ねむ「あの図書館は夢の跡ってことだね。ドリームランドというその名前も相まって、こうして見ていると哀愁が漂うよ」
十七夜「ああ、そうだな・・・。モノレールの問題さえなければ、ドリームランドは八景島シーパラダイスと並んで、神浜の二大レジャー施設として栄えて、東側はもっと活気があっただろうな」
いろは「そうですね、なんだか寂しいですね・・・」
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