【タイムパラドクスゴーストライター】アイノイツキ「消えたキリスト」
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2: ◆K1k1KYRick[sage]
2020/06/28(日) 17:42:00.55 ID:rwxHLxm40
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「今回の捜査は旧暦の2020年ですか」

「剽窃だ」警部は抑揚の無い電子合成音で言った「タイムマシンが使われている可能性がある」

時空警察の本部に配属された私の初仕事がこれだった。

「本来過去と未来を繋ぐはずの座標が、何故か過去の一点しか観測出来ていない。
 しかし、確かにアイノイツキの作品『ホワイトナイト』が
 過去の全くの別人によって連載開始になっている。
 事実そのようにこの時代の事象が書き換えられつつある……」

アイノイツキと言えば記念館が出来るほどに著名な二十一世紀の漫画家だ。

被害者の訴えに関する資料が眼前のスクリーンに次々と映し出されていく。

一流漫画家の親族の悲痛な叫びが今にも聞こえてきそうだ。

「犯人がこの世界から盗んだ痕跡は今の所発見できていない。
 当面は過去からアプローチをして容疑者を搾っていく方針だ。
 配属されて早々済まないが、向こうで至急調査を進めてほしい」

警視庁がマザーコンピューター管制下に据えられてから

もうずいぶんになるが、彼が故障した事は一度もない。

とはいえ時空警察も存在しない大昔に送り出されるのは若干不安だった。

件の座標と思しき年代を三ヶ月単位で虱潰しに捜査していくのは骨が折れる。

とっくの昔に知性を機械体に移した現代人の私にとって

この支給された有機体のボディはすぐ疲労する不便極まりない代物だ。

ああ、将来もっと精密に座標が特定されれば

このような苦労など無くなるというのに……。

「……! これは……!」

捜査を始めて三年目。体感としては三ヶ月目になる。

たまたま本屋で手にしていた紙媒体の雑誌に「ホワイトナイト」の新連載予告が載っていた。

間違いない、正史よりも十年早いタイミングだ。

名前もアイノイツキではなく「佐々木哲平」と別人の名が使われている。

ペンネームか本名かはともかく、私はこのササキ氏を被疑者としてマークした。



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