4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/26(金) 00:20:28.56 ID:pCrOcsWZO
「どうだ、トウコ。オレは常識人だろ?」
「まったく。おかげで私は退屈極まりない」
トウコはさも退屈そうに煙草をふかす。
ポワポワと煙で円を作る様はまるで絵に描いたような退屈ぷりで思わず笑ってしまった。
「トウコは死に急いでいるのか?」
「生憎と、私は死には無縁でね」
「なるほど。だからこそ、退屈なのか」
「そゆこと」
人より寿命が短い者はその分、他の者よりも密度の濃い人生にしたがるのは道理である。
その逆に、人より寿命が長い者もその分、他の者よりも濃い人生を望むのかも知れない。
「トウコこそ誰かを愛してみたらどうだ?」
「特定個人のみを愛するのは私には難しい。人形師の性か、ついコレクションしたがる。きっと、代わりが存在しないということに耐えられないのだろうな」
まるで他人事のようにぼんやりと自己分析するトウコは大人で、少し羨ましかった。
この女は少々頭が沸いているけれどいつだって理性的で、自分自身を客観視している。
オレにもそう出来ればこの先もう少しまとも人生が歩める気がするが、なかなか難しい。
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