14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/26(金) 00:41:06.91 ID:pCrOcsWZO
「君は……まさか」
「なんだ、こんな時だけは察しがいいな」
薄々、わかってはいた。僕は察していた。
式のことだから、きっと何かあるのだと。
別に、スリルを求めていたわけではない。
僕はただ、彼女との日常が好きなだけだ。
「嬉しそうだな、幹也」
「そう見えるかい?」
「ああ、そのまま人形にしたいくらいだ」
僕はきっと今、嗤っているのだろう。
眼前の式と同じように、酷く歪に。
まるで鏡合わせのように、僕らは嗤い合う。
「これは橙子さんの入れ知恵かい?」
「いや。オレなりに自分の衝動と向き合って出した答えだ。もっともトウコにはお見通しだったみたいで、席を外してくれたけどな」
余計なお世話ですよ、所長。
大人なら止める立場でしょうに。
まあ、あの人が止めるわけないか。
「それで、これから何をするつもりだい?」
「今更、言う必要があるのか?」
「当ててみせようか?」
「好きにしろ」
当てて欲しくて堪らないといった様子で、式は待ち望む。僕はお望みの答えを口にした。
「君はおしっこがしたいんだろう?」
「大正解だ、幹也」
ああ、やはり。これだから、式は大好きだ。
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