ロード・エルメロイU世「最初からそれがお望みだろう、レディ?」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:45:04.30 ID:uimHEu7hO
「先生はやめてくれ。それは君だろう?」
「あ、ああ……すまない。つい、君にケイネス先生を重ねてしまって……」
「ウェイバー・ベルベットと先代エルメロイは不仲だったと聞いているが?」
「それでも私はたくさんのことを教わった。だから、恩師であることには変わりない」

先代エルメロイは聖杯戦争にて戦死した。
ウェイバー・ベルベットは先代が用意したイスカンダルの聖遺物を盗み、その召喚を妨害したことに今でも責任を感じている。

「後悔しているのかね?」
「いいや。後悔はしていない。それがどんな悲劇を生んだとしても、私はあの時の自分の暴走を否定したりはしない。あの時の私には……ボクには、そうやって周りに自分の力を示すこと以外考えられなかった」
「うん、そうだね。そうだろうとも」
「それがどんなに愚かだったとしても、私は……ボクだけはそんな自分を肯定したい」

それは開き直りではなく、懺悔であった。
誰にだって間違いはある。過ちがある。
それは私にも共感可能な感情だったから。

一雫の涙が、私の頬を伝い、流れ落ちた。

「レディ……どうして泣いている?」
「愛しい義兄を想って義妹が涙を流すのはそんなにおかしいことかね?」
「どうせまた嘘泣きだろう?」
「どうしてそう思いたいんだい?」
「もしそうでないのなら、愚かな私は優しい義妹を放っておけなくなるからだ」

我が兄は愚かで、お人好しだ。
だからこうして、優しく抱擁してくれる。
まったく。貴腐ワインよりも、よほど甘い。


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