206: ◆CpUz7d.S3o[saga]
2020/05/28(木) 00:00:24.49 ID:rVHE0DgGo
その劇場は、王国のとある山林の奥深くにあった。
しかし決して人の目に留まらない場所ではない。なぜならばここは開拓地。
急ピッチで開発の進む町であり、鉄道も通っている。
すでに王国各地から人々が押し寄せる、王国屈指の人気観光地の一つだ。
ではなぜ、その劇場はさびれていたのか。
その答えを解き明かしたのは開拓者。
20代半ばの女性でありながら、王国の開拓団のリーダーを務める実力者である。
「観光客のお目当ては競馬と温泉です! わざわざ演劇に来る理由が無いのです」バン!
開拓者は黒板を叩き、教室の若者たちの注目を集めた。
「必要なのは演技力? いいえ! 分かりやすいパフォーマンスです」
「厳しい特訓になりますが、ついてきてください。私は貴方がたを絶対に、人気俳優にしてみせます!」グッ
拳を握り、力強く宣言する開拓者に、若き役者たちは真剣な表情でうなずいた。
後日、劇場。
役者「必ずや、取り戻してみせる…………俺たちの青春をッ!!!」
(火薬が破裂する音)
観光客「うぉおー!」
(役者、バック転しながら下手側に消える)
開拓者「私は彼らの演技力はすでに足りていると判断しました」
開拓者「そして、照明、劇伴、演出の効果的な使い方、また、シナリオを作るテクニックを教えました」
開拓者「また、主役級の役者さんには身体能力を磨かせました」
開拓者「結果、このように客席の9割を埋めることに成功しました」
開拓者「分かりやすさというものも重要なのです」
劇作家A「あのさ、台本形式って慣れると話を進めるのが楽すぎて地の文が書けなくなるよな」
劇作家B「まあ地の文が書けないから説明口調になりがちで、がっつり地の文が書きたくなる時もあるんだけどな」
劇作家C「私は諦めて主人公に説明口調で喋らせてる。モノローグみたいにすればいいのよ」
劇作家D「ここ『ドン!!』じゃ演出班に伝わりづらくね? 『(銅鑼の音)』って書いた方がいいぜ」
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