71: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:51:21.72 ID:5z9OpdEU0
(まったく…あんな話を聞かされたのに、よく明るく振舞えるな…)
(…いや、こういうところがまりの良いところだ)
ふっ、と紅の顔から笑みがこぼれる。
72: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:52:10.59 ID:5z9OpdEU0
「ごちそうさまでした、森浦さん。これから調査に向かいます」
紅が席を立ち、脇に置いてあった二本の刀――祖父から受け継いだ小太刀『白神』『紅魔』を腰に差した。
「ごちそうさまでした!すごく美味しかったです!」
73: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:52:37.12 ID:5z9OpdEU0
「よろしく…よろしく、お願いします」
まりの元気に癒されたのであろうか、森浦の顔にも、少し、笑顔が戻っていた。
74: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:53:31.24 ID:5z9OpdEU0
――
――――
――――――
75: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:54:05.86 ID:5z9OpdEU0
「ああ、そりゃオソメ・ブラザーズの兄貴のほうだろ…。星のチャームね、うん。アイツしかいねえわ…」
――センザキの一角にある安酒場。
そのカウンターに紅、まり、そして傭兵らしき姿のオークが腰かけていた。
76: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:55:17.58 ID:5z9OpdEU0
「オソメ・ブラザーズ?」
「港の倉庫街を根城にしてる半グレ兄弟だよ…ゲスな商売で稼いでるクソ野郎さ…本名は染谷って言うらしいがな…」
「お前にそこまで言われるということは、よほどの悪党らしいな」
77: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:56:07.09 ID:5z9OpdEU0
紅と軽口を叩きあうこのオークは、傭兵稼業のなかで紅と知り合い、たまに顔を合わせれば一緒に酒を飲む間柄になった。
紅が魔のモノの血を引いていること――長くなるためここでは詳しく触れないが――そのことあり、もともと紅は人外の存在に対しても偏見無く接する。
「なら生活習慣を改めろ。今だって匂うぞ。不潔な連中とばかり付き合ってるから気にならんのだろうがな」
78: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:57:09.33 ID:5z9OpdEU0
「しかしまりちゃんも久しぶりだよなあ!連絡先も聞けないうちに帰っちまったから、俺あ寂しかったぜえ…?ガハハハ!」
「あうう、すみません…。ちゃんとお礼をしなきゃとは思ってたんですが…。なかなか時間がなくて…」
「ガハハハハ!謝ることじゃねえよ!今日またこうして会えたんだからな!」
79: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:58:12.10 ID:5z9OpdEU0
「話を戻すぞ。そのオソメ・ブラザーズとかいう連中についてもっと詳しく教えてくれ」
「…ん?ああ、別にいいけどよ…」
ふいに、オークはきょろきょろと店内を見まわした。
80: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:58:43.83 ID:5z9OpdEU0
「…奥、行かねえか?別に変なことはしねえからよ」
「万一そんなことをしたら酔い覚ましをプレゼントしてやろう。強烈なやつをな。もっとも二度と銃が握れなくなるかもしれんが」
「ガハハ!こわいねえ〜」
81: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:59:33.82 ID:5z9OpdEU0
3人はカウンターから奥の席に移動し、オークが新しい酒を注文した。
「悪いな。どうせみんな酔っぱらって俺たちの話なんか聞こえねえと思うが…それでも、な。楽しく酒飲んでるときに聞きたい話じゃねえんだわ…あの兄弟については…」
「さっき言っていた“ゲスな商売”というやつか」
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