65: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:47:00.90 ID:5z9OpdEU0
(それは…美春さんからすれば、プライドを傷つけられただけだっただろうな…)
紅はじっと、考えこんでいた。
仲が良かったはずの和香に裏切られた。
66: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:47:52.65 ID:5z9OpdEU0
「事件が起きたのはその10日後でした…」
「私の無神経さで、あんなことになってしまって…娘とも、仲違いしたっきりで…」
「娘に会いたい。謝りたい。今の私にあるのはそれだけです。それだけを思って、この5年間、生きてきました…」
67: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:48:20.49 ID:5z9OpdEU0
最期の方は吐き出すように語り終えた森浦が、グラスの酒を一気にあおった。
半分以上が口に入らず、派手に床や服にこぼれた。
まりが拭くものを探しに席を立つのと、紅が次の質問を投げかけるのとが、ほぼ同時だった。
68: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:49:11.36 ID:5z9OpdEU0
「森浦さん、もうひとつだけ。美春さんらしき女性と連れ添っていた男…あなたを殴った男の特徴は覚えていますか?」
「坊主頭で…顔はよく見ていません。背はかなり高くて…」
(気が動転していたそうだし、顔を覚えていないのも無理はないか…)
69: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:50:07.64 ID:5z9OpdEU0
まりが台所からタオルを持って戻ってきた。
「すみません、ちょっとお借りしました〜」
「いえ、大丈夫ですから…」
70: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:50:53.61 ID:5z9OpdEU0
「森浦さん…」
「はい?」
「その…和香さんのこと、絶対に見つけ出しますからね!美春さんも!きっと仲直りできますよ!」
71: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:51:21.72 ID:5z9OpdEU0
(まったく…あんな話を聞かされたのに、よく明るく振舞えるな…)
(…いや、こういうところがまりの良いところだ)
ふっ、と紅の顔から笑みがこぼれる。
72: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:52:10.59 ID:5z9OpdEU0
「ごちそうさまでした、森浦さん。これから調査に向かいます」
紅が席を立ち、脇に置いてあった二本の刀――祖父から受け継いだ小太刀『白神』『紅魔』を腰に差した。
「ごちそうさまでした!すごく美味しかったです!」
73: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:52:37.12 ID:5z9OpdEU0
「よろしく…よろしく、お願いします」
まりの元気に癒されたのであろうか、森浦の顔にも、少し、笑顔が戻っていた。
74: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:53:31.24 ID:5z9OpdEU0
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75: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:54:05.86 ID:5z9OpdEU0
「ああ、そりゃオソメ・ブラザーズの兄貴のほうだろ…。星のチャームね、うん。アイツしかいねえわ…」
――センザキの一角にある安酒場。
そのカウンターに紅、まり、そして傭兵らしき姿のオークが腰かけていた。
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