50: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:36:30.05 ID:5z9OpdEU0
「私も気が動転して、はっきりと顔を見れたのか自信はないんですが…あれは美春でした。ええ。間違いありません」
ぐい、と酒を飲み干した森浦が続ける。
「だって、そうじゃなきゃおかしいじゃないですか…美春の名前を呼んだだけで慌てて逃げ出すなんて…」
51: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:37:11.81 ID:5z9OpdEU0
しかし、それを語る森浦の様子にまりは違和感を覚えていた。
(なんだろう、この…引っかかるような感じ…?)
52: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:37:57.22 ID:5z9OpdEU0
ちら、とまりは隣の紅の顔を見やった。
「……」
紅もなにか腑に落ちない顔で腕を組んでいる。
53: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:38:48.94 ID:5z9OpdEU0
(そうだ、森浦さん…美春さんの名前を出すときだけ…なんというか…)
挙動がおかしい。
眼がきょろきょろと泳ぐ。
54: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:39:15.95 ID:5z9OpdEU0
後 ろ め た い こ と が あ る よ う な ・・・
55: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:40:21.29 ID:5z9OpdEU0
「あなたと美春さんは、どのような関係だったんですか?」
「え…?」
酒を注いでいた森浦の手が、慌てて瓶をひっこめた。
56: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:41:18.80 ID:5z9OpdEU0
「あなたは、美春さんと『男と女の関係』だったのではありませんか?」
「!!!」
びくり、と森浦の体がこわばる。
57: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:41:46.70 ID:5z9OpdEU0
沈黙。
58: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:42:29.41 ID:5z9OpdEU0
「森浦さん」
紅が沈黙を破った。森浦は俯いている。
「私は、一度受けた仕事には全身全霊でかかります。あなたのために命を懸けます」
59: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:42:59.91 ID:5z9OpdEU0
やがて森浦は小さく頷き――静かに語り始めた。
60: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:43:52.30 ID:5z9OpdEU0
――森浦と美春は一緒に働くうちに惹かれ合い、関係を持った。
店が忙しくデートなどはあまりできなかったが、森浦がプロポーズを決心するまでにそう時間は必要としなかったという。
「和香と美春はとても仲が良かったんですよ…3人で上手く店を切り盛りして…これなら、本当の家族になれるかと…」
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