158: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:21:39.04 ID:5z9OpdEU0
紅が茶碗を置き、折りたたまれた便箋をまりに差し出した。
「これは…?」
読んでみろ、と紅が目で語り掛ける。
159: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:22:18.22 ID:5z9OpdEU0
――心願寺紅様・篠原まり様
この度は娘の仇を討って頂き、感謝のしようもございません。
ようやく私も、天国の娘に謝罪に赴く決心がつきました。
160: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:23:48.75 ID:5z9OpdEU0
「…!!」
「私も、すぐ家に駆け付けたのだが…。間に合わなかった…」
「そんな…!そんなのって…!!」
161: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:24:50.92 ID:5z9OpdEU0
「約束の報酬だ。それと…」
「私、いいです」
「受け取るんだ。それが依頼者への礼儀になる。それと、人の話は最後まで聞くものだ」
162: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:26:24.59 ID:5z9OpdEU0
「…?」
「森浦さんのレシピ・ノートだ。好きに使ってほしいという書置きが残されていてな」
「ええっ!?これ、全部ですか!?」
163: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:27:33.50 ID:5z9OpdEU0
「…まり。よければなんだが…私と料理の練習をしないか?」
「え?」
「いや、私もこういう漫画みたいなセリフは好きじゃないんだが…。ほら、あるじゃないか…。“森浦さんの料理を私たちが受け継げば、私たちの中で森浦さんは生き続ける”…とか…なんとか…」
164: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:28:36.39 ID:5z9OpdEU0
「…ふふっ。ふふふふ…」
「わ、笑うなよ!私だって言おうか迷ってたんだぞ!でも、君が落ち込んでいたから…」
「ふふふ…すみません、紅さんが…まさかそんな…ふふふふふ…」
165: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:29:26.37 ID:5z9OpdEU0
「…ありがとうございます。私なんかでよければ、ぜひ!」
「うむ。料理は食べさせる相手がいれば上達が早いと言うからな。二人で試食しあえば効率がいいだろう」
「楽しみです、紅さんの料理!」
166: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:30:34.87 ID:5z9OpdEU0
「あ!?いやいや、あー…、あつい、暑いなあ、今日は!暑い!うん!」
(うわっ!?めちゃくちゃベタなやつだ!)
「もしかして、例の“王子様”のことですか?」
167: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 19:31:53.90 ID:5z9OpdEU0
「なななっ、なんの話だっ!?そ、そんなことは――」
「去年、酒場にご一緒したときにオークさんたちが言ってました」
「し、知らんっ!知らんぞっ!というか、酒の席での話を間に受けるんじゃないッ!」
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