14:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:14:10.23 ID:GKexH31W0
あれからもう1か月が経つ。僕は彼女の担当プロデューサーから降り、当面はアイドル部門の事務員のヘルプをすることになった。彼女とはしばらく会っていない。
風の噂だが、一次審査は通過したらしい。まあ、もう僕には関係ないことだけど。そういえば後任のプロデューサーは誰になったんだろう。部長に訊いてみようか。
『彼女の後任かい? それなら、誰も担当しないことになったよ。プロデューサー職も限りがあるからね。酷だけど、タイムリミットが近くて見込みのない子に割く人員は無い。ただ、だからといって無理やり退所させるのも悪いから、セルフプロデュースって形で頑張ってもらうことになったよ』
「そうですか……。彼女には悪いことをしましたね」
『いやいや、君が彼女を8年も担当してくれたのには感謝してるんだ。多分誰もやりたがらなかっただろうからね。君が責任を感じる必要はないよ。今は彼女なりに時間をやりくりしてうまくやっているようだし』
「楽しんでるならそれはそれでよかったです」
セルフプロデュース。聞こえは良さそうだが、言ってしまえば戦力外通告。彼女が僕に対して「お祈り」したように、彼女もまた、事務所から「お祈り」されたようだ。
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