【オリジナル】自殺したら僕だけを誉めない有名絵師の彼氏になった件
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67: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:48:52.90 ID:U1qw9Qt5O


「TERIAさんっ!!」

ガバッと上体を起こすと、そこは清潔感溢れる白で覆われた病院の個室だった。
真っ先に目に入った壁掛けのカレンダーは、今年の一月のものだった。

「えっ!? 僕は今度こそ、死んだはずじゃ……って、声高いな」

つい先ほどまでの「白井凛さん」の低いバスの声じゃなくて、今度は女性の高いソプラノボイス。
まさか、いや、そんなことあり得るのか?
両脚をベッドから下ろして、すっと立ち上がって。
カーテンをずらして、ガラスに映る自分の顔を確かめた。

「ああ、やっぱり女性だ」

しかも今度は心当たりがない人だった。
しかし、これはいったいどういうことだ?
五か月前、本来の身体である「佐藤等」で一度目の死を迎えて。
まだ何日前かははっきりしないけど、恐らく数日前に「白井凛」として二度目の死を迎えた僕は。
次は見ず知らずの女性の身体を乗っ取って、執念深く生き永らえているとでもいうのか。
これじゃあまるで、タチの悪い悪霊じゃないか。
もしかしたらこの女性も凛さんのように、急性アルコール中毒か何かで本来なら死んだはずの人かもしれない。
だからといって、精神は消えたけどまだ動ける肉体へ憑依し続けるなんて……自分が怖くなった。
もはや僕は、人間ですらないんだって。

プルルルル、プルルルル。

頭が混乱している中、足下からスマホの着信音が鳴った。

「スマホはあるんだ……誤魔化せるかな……」

無駄に律儀な僕は、ついそれを取ってしまった。
それが新たな悲劇を招くとも知らずに。


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