【オリジナル】自殺したら僕だけを誉めない有名絵師の彼氏になった件
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2: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 08:20:00.68 ID:U1qw9Qt5O
「もう、喋らないでっ!」
「嫌、ですよ……がはっ。僕は……TERIAさんに僕の痛みを、わかってもらわなくちゃ……がふっ、がふっ」

喀血が止まらない。肺に空気が入ってこないせいか、呼吸が段々と苦しくなる。
脳の機能が低下しているせいか、視界がぼやけ呂律も回らなくなってきた。

「早くっ、早く救急車をっ!」
「心配して、くれるんですね……げふっ、がはっ。ずっと、僕だけ除け者にしてきたのに……仲間外れに、がはっ」
「そんなつもりは……」

喉元へ、何かが強く押し当てられる。
TERIAさんの右手……何作もの、素敵なりかりほイラストを描いてきた白くて細い手。

「死んじゃ駄目です! 命を粗末にしちゃ、駄目ですっ!」

ああ、そうか。ハンカチかタオルかで、傷口を押さえてくれているのか。
人間扱い、してくれているというのか。

「ずっとぼくなんか……あいてにしなかったクセに……ひとなみに、がふっ。あ、あつか……って」

痛みが薄れ、意識が遠のいてゆく。
おしまいだ、これで。僕アシカ太郎こと佐藤等の、空っぽな二十四年の人生も。
いいんだ、せめて最期に大きな爪痕を遺すことができれば。
もう誰一人、僕が味わった孤独と絶望を味わうことがなくなれば。

「アシカ太郎さんっ! アシカ太郎さんっ!!」

眠りへ落ちる時のように、僕の意識はすっと途絶えた。


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