6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/04/19(日) 22:07:06.04 ID:nO0X6WpI0
私はその返事として、口を「ただいま」の形に動かして、軽く笑顔を見せる。
つもりだったのだが、今の舞い上がった気持ちに表情までもが引っ張られてしまい、いーっと歯を見せた満面の笑みになってしまうのだった。
それに若干の恥ずかしさを覚えていたところ、突然プロデューサーは自分の左胸を両手で抑えるようにして膝から崩れ落ち、「たはー」とでもいうような仕草をする。
プロデューサーの隣にいる、偉いスタッフさん――幼稚な表現ではあるけれど、このライブに関わってくれているスタッフさんたちを取り仕切っているスタッフさんなので、そう言うほかない――が、それを愉快そうに眺めて「なんて言われたんですか」などと訊ねていた。
「愛してる、って」
私を身軽にするべく周囲で動いてくれているスタッフさんの一人に、胸元のピンマイクを指しながら「落ちてますか?」と口パクで聞く。
スタッフさんがすぐさまそれを確認してくれて「大丈夫です」と言ったのを受けて、私は精一杯「ただいま、と言ったので勘違いしないでくださいね」と声を張り上げた。
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