渋谷凛「最後はだいたい、いつもこんな感じ」
1- 20
4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/04/19(日) 22:05:28.43 ID:nO0X6WpI0



 ポップアップに弾かれて、再びスポットライトが燦々と射すステージの上へ。

 風船が破裂したような音と共に金色のテープが舞って、最高潮に達した歓声がモニターイヤホンを貫いて、私に届く。


 今日こそが人生最高の日、とでも言わんばかりの笑顔を湛えている人や、感動のあまり涙を流している人、ファンのみんなの顔が空中ではっきり見えて、いっそう気を引き締める。


 重力を忘れ空中に漂っているかのような錯覚さえ抱いてしまう、スローモーションの景色はやがて実際の速度を取り戻し、私はステージに降り立った。

 ヒールの靴が衝撃をびりりと足に伝えるのと同時に「アンコールありがとう。お待たせ、みんな!」と精一杯の声を客席へと放った。


「このツアーも今日が最後。私も、みんなも後悔のないように」


 すぅ、と息を吸い込む。


「盛り上がろうね」


 私のこの一言を受けて、巨大なスピーカーから音楽が押し出され、客席一面の蒼色が波打つ。
 やれ、と頭で命じたことが指先にまで通る、十全に自分を操縦している感覚。
 加えて、私が腕を振り上げ、客席を煽ればファンのみんなはそれに応えてくれる。
 この全能感に、しばし酔いしれるとする。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
7Res/6.94 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice