31: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/05/10(日) 21:03:08.88 ID:/922GZR/0
髪留めを手渡した彼女は、通称「不思議っ娘」と呼ばれていた。
ふわっとした癖っ毛で、常にボーっとした顔をしている。
人と話しているところはほとんど見たことがない。というか、ほとんど空気だ。
瞳はとにかく澄んでいて綺麗で、先ほども述べた通り引き込まれるような感じだった。
毎日のように教室に誰もいなくなるまで居座り、気づくといない。
少し目を離した隙に、帰っていたのだ。
だからいつも通り今日、俺は風紀委員の仕事(所謂雑用)を終えて、教室の戸締りの為に出向いたというわけ。
いつもなら不思議っ娘の存在を確認したら、声は掛けずに廊下を練り歩き、いなくなるまで待つことが多い。
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