21: ◆3xQXQ8weeA[sage saga]
2020/04/06(月) 00:32:25.24 ID:6AqSaR5m0
「……おかえりなさい」
「……ただいま」
真っ昼間だというのに部屋の中は暗かった。
姿勢良く、美しい佇まいで座っていて、緊張した面持ちをしている灯織。
お互い、食卓は欲しいと設置したテーブルに紙が一枚。クリアファイルに挟まれてぺたんと白紙の背を晒している。
いつもの服で、多分昼食の準備をしていたのだろう。いい匂いがするし、生ゴミの袋がでていた。
今日は半日勤務。12時には仕事を終えて、昼には灯織を迎え入れて一緒に昼食を取る。灯織もオフのため、そのまま一緒の時間を過ごそうと思うのは自然な事だった。
この後部屋でまったりと過ごすという予定を考えれば部屋の鍵を渡しておくのは合理的だろうと。先に灯織が部屋で待っている事にはなんの疑問もない。
しかし、一体何故電気も付けず、足をぴったりと閉じて神妙な面持ちになっているのか。美人なのだから圧も出る。怖い。
「……どうしたんだ?電気付けないのか?」
「あ、えっと……付けます。大丈夫です」
何が大丈夫なのだろうか。というか、付け忘れていただけなのだろうか。わからない。
部屋が明るくなった。よく見ても白紙の紙が何なのかは想像がつかない。
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