4:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:04:28.30 ID:33Pc5UOzO
「でね、実弥くんったら、『もうこれ以上はおはぎは…』って寝言言ってるのよ」
「へぇ、あの不死川先生がねぇ…意外かも…」
「けどね、その後すぐに『いや、きなこは別だろォ』って言ったの。それがおかしくっておかしくって」
「ふふっ…何その自分ルール…」
5:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:09:19.47 ID:33Pc5UOzO
「けど、姉さんはいいわよね…相手が不死川先生だもの…」
「あら、冨岡くんだって優しいじゃない」
「優しいけど…」
だから私も、義勇さんの話をする。ただそれだけのつもりだった。けれど…
6:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:11:40.43 ID:33Pc5UOzO
「でもね、本当に言葉が足りないのよ?この間だってそう、デートでふらっと居なくなったかと思ったら、全身ズタボロになって帰ってきたのよ?」
「えぇ!?」
「それで、理由を聞いたら『喧嘩した』としか言わないの…」
「そ、それ…どうしてなの?」
「そう思うわよね?そこからゆっくり話を聞いたの。一時間くらいだったかしら、それくらい話してやっと、私を盗撮してた人たちと揉めてたってことがわかったのよ…」
7:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:12:19.40 ID:33Pc5UOzO
「本当に…もう少しちゃんと説明してほしいわよ…心配するこっちの身にもなってほしいわ…」
「うーん、けどそれは冨岡くんの優しさでしょう?」
「だけど!姉さんはいきなり自分の旦那さんが傷だらけで帰ってきたらびっくりしない!?」
「それは、びっくりするけど…」
「ね?そもそも普段から言葉が足りないのよ!この間だって、何を思ったのかアサリを大量に買ってきたのよ?」
8:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:12:50.30 ID:33Pc5UOzO
「アサリを?どうして?」
「話を聞いたら『アサリは貧血に良い』としか言わないの。多分私がその時貧血気味だったからだと思うんだけど…それにしたって五キロも買ってこられても困るわよ!」
「そ、そんなに…」
「そうなの!もう本当にどうしようもない…」
9:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:13:25.92 ID:33Pc5UOzO
「しのぶ、ちょっとお話があります」
「は、はい…」
いつになく神妙な面持ちで口を開いた姉さんに思わず敬語で返事をしてしまう。
10:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:13:57.07 ID:33Pc5UOzO
「…まさかとは思うけれど、いつもこんな感じなの?」
「こんな感じって?」
「…冨岡くんのお話するときはいつもこんな感じ?」
「え、えぇ…まぁ…」
「はぁ…そう…まさかとは思ったけどね…」
11:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:14:24.32 ID:33Pc5UOzO
「あのね、しのぶ。私はこれでも貴女のお姉さんだから、しのぶが素直じゃないこともわかってるし、近しく感じている人にほどツンツンした態度を取っちゃう性格もわかってるつもりよ」
「はぁ…」
あまり納得はいかないが、ここで反論すべきではないと感じ相槌を打つ。姉さんは続ける。
12:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:15:07.17 ID:33Pc5UOzO
「だけどね、夫婦っていうのは元々他人なの。そりゃあ冨岡くんとは前世からの知り合いで、気心だって知れているけど、それでもこんな風に悪口を言われ続けて耐えられるかしら?」
「悪口って…そんなつもりは…」
「そうね、そんなつもり無いわよね…けどね?しのぶがこの数分の間に言った言葉を思い出してみて?」
「この数分の?」
13:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:15:35.24 ID:33Pc5UOzO
「『もっとしっかりしてほしい』『どうしようもない』『なんでそうなるのかがわからない』」
「あっ…」
「ね?気づいたでしょう?」
なるほど、こう聞くと私の話は義勇さんの悪口に他ならない。
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