25:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:36:10.30 ID:33Pc5UOzO
「わ、私も!義勇さんにお話があります!」
もしも本当に義勇さんに、他に好きな人ができたのならば、それを伝えられる前に言わなければならない。それでつなぎ止められるなんて思って無いけれど、フラれてからではとてもではないが伝えられないからだ。
26:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:39:20.31 ID:33Pc5UOzO
「…そうか、だが俺から言わせてほしい」
珍しい。いつもは私がどんなワガママを言っても譲ってくれるのに…ねぇ、義勇さん、そんなに私のことを嫌いになってしまったんですか?
27:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:39:50.23 ID:33Pc5UOzO
「い、嫌です!私からがいいです!」
溢れ出しくる涙が止められない。けれど、それを気にする余裕もない。泣くな、泣くな、面倒くさい女になったらダメ…いや、いっそこの場で大泣きしてみせようか。そうすれば、この人は私を忘れずにいてくれるかもしれない…けれど、それも全てこの言葉を伝えてからにしよう。
28:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:41:47.54 ID:33Pc5UOzO
「わかった…それならお互いに同時に言うと言うのはどうだ?」
「え?」
驚いた。義勇さんの方からそんな提案をしてくるだなんて。そんなにも、私とは一緒にいられないのだろうか…こんなことになるのなら、もっと早く素直になっていれば良かった。姉さんみたいな人ならば、愛想を尽かされることもなかったのかな。
29:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:43:18.02 ID:33Pc5UOzO
「…わかりました」
私は覚悟を決める。この後、どうしよう。行く宛なんてない…姉さんだって不死川さんと家庭をもっているのだ。転がり込むわけにはいかない。そんなことを考えながら、けれど、最後に自分の気持ちは伝えなければ。キュッと気合で涙を止める。最後くらいちゃんと伝えなければ…
30:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:44:06.88 ID:33Pc5UOzO
「しのぶ…」
「義勇さん…」
「愛してる」
「愛しています…」
「「え?」」
31:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:51:34.29 ID:33Pc5UOzO
「しのぶ…俺に愛想を尽かしたんじゃ…」
「義勇さんこそ…他に好きな女の人ができたんじゃ…」
「何の話だ?」
本当に驚いた顔をしている。違った?義勇さんは、私を嫌いになったわけじゃない?ダメだ、安心して涙が止められない。そんな私に、義勇さんは追い討ちをかけてきた。
32:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:52:09.58 ID:33Pc5UOzO
「俺はしのぶ以外の女を愛したことなどないが?」
「義勇さん!」
言い終わるか終わらないかのうちに私は義勇さんに抱きつく。嬉しくて嬉しくてたまらない。今はともかく、彼がどこにも行かないことを、自分のものだと言うことを感じさせてほしかった。
33:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:53:12.74 ID:33Pc5UOzO
「なるほどな…そんなことが…」
「うぅ…恥ずかしいです…」
しばらく義勇さんに抱きついて泣いた後、お互いに事情を説明する。なるほど、全ては宇髄さんのせいですか…全く、義勇さんが悩むわけです…次に会った時にはどうして差し上げましょうか…
34:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:54:01.37 ID:33Pc5UOzO
「しかし、確かに言ってみないとわからないものだな…まさか、しのぶが俺のことをそんなに浮気性だと思っていたとは…」
「ぎ、義勇さんだって!口に出してなかっただけで私が愛想を尽かした冷血女だと思ってたじゃないですか!」
「そこまでは言っていない」
いや、宇髄さんだけのせいじゃない。確かに私も素直じゃなかった。少なくとも、自分で不安になる程度には気持ちを伝えていなかった。普段から義勇さんのことを口下手だのなんだの言っておきながら、この体たらくだ。
35:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:54:47.40 ID:33Pc5UOzO
「ほら、もう夕食にしましょう!今日は鮭大根ですよ?」
気まずさを誤魔化したくて、顔も見ずに夕食の準備をする。そんな私に義勇さんはまたしても爆弾を落としてきた。
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