17:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:19:16.76 ID:33Pc5UOzO
「あらそう、じゃあ無理強いはしないけど…」
しかし、次の姉さんのセリフを聞いた時、私の中で時間が止まった。
18:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:19:45.42 ID:33Pc5UOzO
「知らないわよ?冨岡くんが誰かに取られても?」
まるで脳みそを直接殴りつけられたような衝撃が私を襲った。取られる?誰が?誰に?どうして?そんなことを考えているうちにいつの間にか楽しいランチ会は終わっていた。
19:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:20:18.54 ID:33Pc5UOzO
「はぁ…」
気がつくと私はいつもの家路についていた。早く家に帰らなければ。義勇さんが帰ってくる前にこの気持ちを整理しておかなければならない。
20:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:20:52.66 ID:33Pc5UOzO
「取られる…なんてこと…ないわよね?」
ただでさえ無口で無愛想な義勇さんのことだ。私が告白した時だって、どれ程苦労したことか。前世での知り合いだなんて、何のアドバンテージにもならなかった。そもそも義勇さんは浮気ができるような性分ではない。けど…
21:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:22:08.91 ID:33Pc5UOzO
「もしも、本気だったら…?」
それなら充分にあり得る話だ。思い返せば、私が素直だった瞬間なんて、前世を含めても告白したあの時くらいだ。それまでもそれからも、彼の優しさに甘えて冗談や嫌味を言ってからかってばかりだった。もしも、そんな女に嫌気が差してしまったら?
22:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:22:42.51 ID:33Pc5UOzO
「いや…いや…そんなの…いや…」
考えれば考える程、嫌な方向に考えてしまう。
「よし…」
23:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:23:19.00 ID:33Pc5UOzO
「話があるんだ」
帰宅した義勇さんが、着替えもそこそこに私にそう伝える。
「話…ですか?」
24:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:35:28.58 ID:33Pc5UOzO
「あぁ、いや、何、大した話ではないんだが…」
妙に歯切れが悪い。口下手ではあるが、言いたいことは誤解されても言う人なのに…そんなに言いにくいことなのだろうか…まさか本当に…捨てられてしまうのだろうか…
25:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:36:10.30 ID:33Pc5UOzO
「わ、私も!義勇さんにお話があります!」
もしも本当に義勇さんに、他に好きな人ができたのならば、それを伝えられる前に言わなければならない。それでつなぎ止められるなんて思って無いけれど、フラれてからではとてもではないが伝えられないからだ。
26:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:39:20.31 ID:33Pc5UOzO
「…そうか、だが俺から言わせてほしい」
珍しい。いつもは私がどんなワガママを言っても譲ってくれるのに…ねぇ、義勇さん、そんなに私のことを嫌いになってしまったんですか?
27:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:39:50.23 ID:33Pc5UOzO
「い、嫌です!私からがいいです!」
溢れ出しくる涙が止められない。けれど、それを気にする余裕もない。泣くな、泣くな、面倒くさい女になったらダメ…いや、いっそこの場で大泣きしてみせようか。そうすれば、この人は私を忘れずにいてくれるかもしれない…けれど、それも全てこの言葉を伝えてからにしよう。
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