21:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:29:50.36 ID:33Pc5UOzO
「…わかりました」
そんなバカげた提案にしのぶは珍しく乗ってきた。そこまで俺に愛想が尽きたのか。もうしのぶの顔は涙が溢れて見ていられない。すまない、しのぶ。これだけ…これだけ言えば、俺はもうお前の目の前からは消えるから…だから、これだけは言わせてくれ…
22:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:33:22.56 ID:33Pc5UOzO
「しのぶ…」
「義勇さん…」
「愛してる」
「愛しています…」
「「え?」」
23:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:44:52.88 ID:33Pc5UOzO
「しのぶ…俺に愛想を尽かしたんじゃ…」
「義勇さんこそ…他に好きな女の人ができたんじゃ…」
「何の話だ?」
本当に何を言っているのかがわからない。そこで俺は宇髄の言葉を思い出す。なるほど、こう言う時に俺は一言足りなかったのだったな。
24:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:45:23.15 ID:33Pc5UOzO
「俺はしのぶ以外の女を愛したことなどないが?」
「義勇さん!」
言い終わるか終わらないかのうちにしのぶが抱きついてきた。わんわん泣いている彼女を俺は傷つけてしまったのだろうか。
25:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:47:05.41 ID:33Pc5UOzO
「なるほどな…そんなことが…」
「うぅ…恥ずかしいです…」
しのぶをなんとか泣き止ませ、お互いに事情を説明する。なんという偶然だろう。いや、それだけ自分たちのことを心配してくれている人が多いということか。感謝するべきことだな。
26:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:47:37.75 ID:33Pc5UOzO
「しかし、確かに言ってみないとわからないものだな…まさか、しのぶが俺のことをそんなに浮気性だと思っていたとは…」
「ぎ、義勇さんだって!口に出してなかっただけで私が愛想を尽かした冷血女だと思ってたじゃないですか!」
「そこまでは言っていない」
いや、これはお互いさまだな。宇髄の言う通り、言わなければ伝わらないこともあるのだ。
27:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:48:15.36 ID:33Pc5UOzO
「ほら、もう夕食にしましょう!今日は鮭大根ですよ?」
恥ずかしさを誤魔化すように顔を背けてしのぶが言う。そうだ、そういえばこれも言っていなかったな。
28:名無しNIPPER
2020/04/05(日) 20:49:50.29 ID:33Pc5UOzO
「しのぶ」
「はい?」
「いつもありがとう…しのぶの鮭大根が、一番美味い」
「…どういたしまして」
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