15:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:24:37.27 ID:/ZuzgcCF0
そんな毎日がどれだけ続いただろう。
「その日」は突然やってきた。
いつも通りレッスンのために事務所に行くと、事務員さんが話しかけてきた。
近々開かれるいくつかのオーディションの中にお勧めできそうなものがあった、って。
特定のオーディションを勧められるのはずいぶん久しぶりのことだった。
きっと大きなチャンスが回ってきたに違いない。
そう思って、私はこれもまたずいぶん久しぶりに、期待を持って続きを促した。
そして事務員さんから手渡された紙を受け取った私の目に真っ先に飛び込んできた文字が、心臓を跳ねさせた。
天海春香。
ミュージックビデオ。
ダンサー募集。
天海春香さんのこと、好きだったよね?
そう言って優しく笑う事務員さんに、私は気の抜けたような返事をすることしかできなかった。
事務員さんの目にはきっと、嬉しさのあまり言葉を失っているように見えただろう。
けどそれはまったくの的外れというわけでもなかった。
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