王馬「大変だ!オレが行方不明になっちゃった!」
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46: ◆DGwFOSdNIfdy[saga]
2024/02/23(金) 12:19:31.66 ID:4yhwoek00
突然、暗闇に包まれた。違う。環境の変化ではなく視覚自体が失われたのだ。より正確に言うならそんなものはずっと前から無かった。視覚だけじゃない、聴覚も、触覚も、嗅覚も、味覚も。だってオレはもう死んだのだから。
ボディを透明にして誰にも気付かれなかったら意味が無いから、オレは半透明の幽霊になった。そして、見透かされて完全に役目を終えた。
全く未練が無いと言えば嘘になってしまう。でも死ぬまでにやれるだけのことはやったし、だからこそ自分の気持ちに折り合いを付けられたと思える。
これで、ようやく眠れる。
……本当に?もうとっくに肉体の縛りから逃れて、今となっては休息する必要なんて無くなっているのに?
オレの意識はプレス機のほんの僅かな隙間に留まり続けていた。困ったな、成仏ってどうすればいいんだろう。したいと思って出来るものでもないのかな。生前にもっとちゃんと宗教について学んでおくんだった。そういう問題なのか知らないけど。
それからどれほどの時間が経ったのだろう。客観的な実状は別として、オレは未だに時間という概念に囚われたままだ。…ああ、思い出した。だからオレはあんなくだらないごっこ遊びを始めたんだっけ。
まず一条の光があった。最初は見失いそうになるくらい細くて頼りなかったけど、ゆっくり広がって、やがて視界の端まで行き渡る。
見上げると、僕がプレス機のボタンを操作していた。
最原「王馬くん、そんな所で潰れてないでちゃんと王馬くんを探してよ。言い出しっぺはキミなんだからさ」
王馬「ごめんごめん、そろそろ別の場所に行こうか」
伸されて肉塊とも言えないような歪なタコせんべい様の物体になった王馬くんが、プレス機からぴょんと軽やかに飛び降りた。何色か形容し難い血が床に散る。
王馬「で、なんの話をしてたんだっけ?」
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