17:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:51:17.67 ID:6ZY1ckmrO
「胡蝶…」
「見ないでください!」
何故か涙が止まらない。ダメだ、早く泣き止まないと、冨岡先生に迷惑がかかる。早く泣き止め、感情の制御ができないのは未熟者だ。
18:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:51:59.93 ID:6ZY1ckmrO
「胡蝶…」
冨岡先生はなおも優しく声をかけてくる。本当に空気が読めない。こっちは優しくされればされるほど、涙が溢れて止まらないと言うのに。そんな乙女心など解さないのだろう。
19:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:52:48.21 ID:6ZY1ckmrO
「…昼休みは十二時からだ」
「…はい?」
冨岡先生の発言が突拍子もないのはいつものことだけれど、今回のは本当に意味がわからない。
20:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:53:55.99 ID:6ZY1ckmrO
「…俺は嘘をつくのは嫌いだ」
「冨岡先生…どういう意味ですか?」
「…だから、エイプリルフールは午前中までだろう?」
「え?」
21:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:54:59.63 ID:6ZY1ckmrO
「だから、十二時にもう一度来い。今度は忘れ物をしたなんて嘘はつかなくていい」
「そ、それは…」
「それに…」
「それに?」
「告白は、男の俺からしたい」
22:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:55:45.88 ID:6ZY1ckmrO
「じゃあ、俺は仕事に戻る」
そう言って冨岡先生は戻っていく。その後ろ姿の赤い耳を見て、嘘ではないと確信した。そうだ、彼は前世から嘘がつけるような人間じゃなかった。
23:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:56:21.89 ID:6ZY1ckmrO
「どうしよう…」
次に会う時には、エイプリルフールは終わっている。もう嘘は使えない。『冨岡先生に告白してもらいに来ました』なんて、言えるだろうか。
残り時間は約三時間。その間に嘘ではない理由を考えないといけない。
23Res/7.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20