62:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 17:13:59.16 ID:O0jAO63X0
エミリーの孫「とっても可愛らしいですよね。この女性のほうの人形は、『こんじき雛』と呼ばれているそうです。なんでも、ある地方で縁起物とされているそうで」
エミリーの孫「伝承によると、とある村でのちに村の英雄となられた方の命を救った少女がいたそうです。曰く、その少女は金色の髪をした異国の人であったと……」
エミリー「……」
エミリーの孫「村ではその少女の勇気を讃え、村の女の子たちが強く凜々しく美しい女性に育つよう願いを込めて、こんじき雛を飾るようになったそうですよ」
エミリーの孫「それに聞いてください♪ 私、このお雛様にそっくりだって褒められてしまったんです。まったく、ジャパンのみなさんはお世辞がお上手なんだから――」
エミリーの孫「――おばあさま? どうされたのです。どうして泣いているのですか?」
エミリー「いいえ。なんでもないわ。ふいに、遠い日の出来事を思い出してしまって……そうですか。ちゃんと実っていたのですね。私のあのときの気持ち……」
エミリーの孫「思い出話ですか? ぜひ聞きたいです! おばあさまは今の私くらいの歳の頃、ジャパンで過ごしていたんですよね」
エミリー「ええ。そうね……では話してみようかしら。太陽の昇る国で出逢った勇ましいお侍さんの話……私の初恋の話をね」
おわり
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