53:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 17:08:03.72 ID:O0jAO63X0
〜〜回想〜〜
紬「こちらが呪術に必要な経を彫り込んだ石です。まずはこれをあなたに……」
エミリー「石……ここに鬼を封じるのですね」
紬「ええ。ではこれから手順を説明します。よく聞いていてください」
紬「まずは――ほんの一滴で構いません。育吾郎さんの刀で鬼に一撃を見舞い、刀身にその血をつけてください」
紬「続いてその刀であなた自身に傷を入れ、刀身を血で染めてください。術を使うあなたと、対象の鬼、両者の血で染まった刀をこの石に突き立てるのです」
紬「そうすれば術が解けない限り、件の鬼は育吾郎さんはおろか、美里恩村にさえ一切近づくことができなくなります」
紬「ただしその効果の持続は術をかけた本人……すなわちエミリーさん、あなた自身に懸かっています」
エミリー「私に、ですか?」
紬「この術はその昔、ある高僧が生涯唯一愛したという恋人を救うために編み出したとされるもの……相手を想う強い気持ちがあるからこそ、強い力で魔を封じることができたわけですね」
紬「彼は恋人に取り憑いた強力な魔物をこの術で引き剥がし、引き換えに死ぬまで恋人に触れることも会うことも、一度もなかったといいます」
紬「別れの鋒……誓った別れを放棄すれば、その強力な呪いも解けてしまう。彼は別れを選び続けることで恋人を死ぬまで守り通した――これはそういう術なのです」
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