23:名無しNIPPER[saga]
2020/03/25(水) 23:56:26.71 ID:CTG1QIS00
「何を安心している?これで事態はより深刻になったんだぞ。」
「え?それは…どういう…」
「俺は刀が使えなくなてしまった。わかっていると思うが俺たち鬼狩りが戦うには日輪刀が不可欠。今あるのはお前の刀だけ。つまり何かあった場合はお前がこの場を治めなければならないんだ。」
改めて言われたけどそうだった。冨岡さんを納得させて終わりなわけじゃない。
ここからが始まりなんだ。
「大変だ!女房が産気づいちまった!?」
するとそこへ家の中にいた旦那さんが大声で女将さんが産気づいたと言ってきた。
よりにもよってこんな時に…
「けど産婆のお婆さんはもう亡くなってしまったんじゃ…」
「ああ…そうだ…他所の村から産婆を連れてこなきゃ…」
今からなんて旦那さんの足じゃ絶対に間に合わない。
俺も一家の長男としてこれまで兄妹たちの出産を見届けてきた。
出産は命懸けで時間との勝負だ。悠長な真似などしていられない。
「わかりました!俺が隣村に行って産婆さんを呼んできます!」
こうなれば俺が行くしかない。いくら怪我を負っているとはいえ俺は鬼殺隊の隊士だ。
善逸ほどではないけど足は鍛えられているから普通の人よりは早いぞ。
けど冨岡さんはそれを許さなかった。
「駄目だ。産婆を連れてくることは許さない。」
「そんなどうしてですか!もう時間がないんですよ!」
「母親は人喰い鬼だ。それに今は出産でかなりの体力を消耗している。
つまり飢餓状態に陥っている。そんな状態で一般人を巻き込んでみろ。死人が出るぞ。」
あ…今更ながら俺は事の重大さを思い知らされた…
唯でさえ出産など命懸けだというのに鬼の出産となれば一般人を立ち入ることも出来ないんだ。
「あ゛…あ…あぁぁぁ…」
そんな中で女将さんの苦しむ声が聞こえてきた。
もう悩んでいる時間はない。こうなれば取るべき手段は唯一つだ。
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