35:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:57:31.53 ID:z07AMiQQO
目を細め、噛みしめるように最初の一口を飲み込んだ紗夜に、日菜はスマートフォンのカメラを向けていた。ラーメンを味わう、いつもとは違った、なんだか無防備で可愛げのある姉の姿を写真ではなく動画に収めていた。
日菜の前にも、もうラーメンは運ばれてきていた。だけど彼女はまだ食い気より姉。ラーメンより紗夜だった。
「ねぇねぇおねーちゃん」
「どうしたの、日菜?」
いつもの7割増しで柔らかく優しい声。それを聞いて日菜は嬉しくなる。
「おねーちゃんのこと、撮ってもいい?」
「お店の人に迷惑がかからないならいいわよ」
「ありがとー! ……えへへ、実はもう撮っちゃってるんだけどねっ」
「まったく、しょうがない子ね」
紗夜はスマートフォンのレンズに向かって、通常の3倍ほど優しく穏やかな笑顔を浮かべて見せた。カメラ越しに画面の中の姉と目が合う日菜は、もう踊りだしそうなくらいに『るるるんるるるんるんるんるんっ♪』としていた。
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