23:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:48:48.24 ID:z07AMiQQO
やがて目的のラーメン屋が視界に映る。
小さな店構え。
行列ができるような超有名店というわけでもないから、入り口にかかった黄色い暖簾がよく見える。それが紗夜の海馬に刻まれたラーメンを蘇らせる。ああ、もうすぐだ。もうすぐ、恋焦がれたあの一杯と――
「あれ、紗夜さん?」
――と、恍惚とした表情を浮かべかけたところで、後ろから声をかけられた。
足が止まる。表情も固まる。まさか、そんな。鈴を転がしたような可愛いらしい声。それが紗夜の思い出を想起させて、ひとつの人影を浮かび上がらせる。
ぎぎぎ、と古ぼけたブリキ人形のような鈍い動きで身体を反転させる。振り返った視界の先には、羽丘女子学園の制服を身にまとい、きょとんと首を傾げる羽沢つぐみがいた。
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