31:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:13:03.67 ID:ViqLDuZYO
「それで?冨岡先生にはどんなチョコを?」
「あぁ、冨岡さんには義理チョコを贈るわ」
「うん、だから、どんな義理チョコを…」
「どんなって『義理』って書くのよ」
「は?」
32:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:13:54.56 ID:ViqLDuZYO
「姉さん…私、どんなことになっても姉さんの味方だから…」
「カナヲ…」
なんていい子なんでしょう。流石私の自慢の妹ね!
33:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:14:23.89 ID:ViqLDuZYO
「大丈夫…大丈夫…しのぶ姉さんは大丈夫…」
作戦の成功をこんなに祈ってくれるなんて…なんだかうわ言のようにも聞こえるけれど、気のせいでしょう。
「おかしくなんてない…おかしくなんてなってない…」
34:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:14:51.32 ID:ViqLDuZYO
「…書けない」
そう、『義理』と書けないのだ。画数が多すぎる。
「そもそも、土台のチョコが小さいのね…」
35:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:15:30.42 ID:ViqLDuZYO
そして迎えたバレンタイン当日。
「しのぶーーー!大好きぃぃぃい!」
「はいはい…」
36:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:16:30.03 ID:ViqLDuZYO
「…あっ、冨岡先…」
「冨岡先生!」
「あ、トミセン!」
「あ…」
37:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:17:02.50 ID:ViqLDuZYO
「冨岡先生!受け取ってください!」
「いや、俺は…」
「トミセン!あたしのも!」
「いや、だから…」
38:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:17:33.51 ID:ViqLDuZYO
「あ、じゃあ私も!」
「いつもお世話になってるしね!甘さ控えめのビターチョコだよ!」
「あ、う…」
冨岡さんは、意外と甘いのが好きなんですよ…それも言わせてあげてください…待ってあげたらちゃんと言えるんですから…。
39:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:18:03.54 ID:ViqLDuZYO
「あ、冨岡先生ー!」
「っ…」
もうその場にはいられなかった。気付いたら走り出していた。みっともないみっともないみっともないみっともないみっともないみっともない…なんですか、今の感情は…こんなの…こんなの『嫉妬』以外の何でもないじゃないですか…
40:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:18:36.78 ID:ViqLDuZYO
「私…冨岡さんのこと…好きだったんですね…」
乾いた笑いしか出てこない。姉にも言われていた。あんなに言われていたのに、あんなに長く一緒にいたのに、気付いたのは今更だなんて滑稽すぎる。
41:名無しNIPPER
2020/03/14(土) 07:19:15.35 ID:ViqLDuZYO
「でも…無理ですよ…あの子たちに…勝てるわけ」
普段から、歳下のくせに生意気なことばかり言って、口を開けば憎まれ口、嫌味な言い方しかできないし、こんな時でさえ理由をつけて義理チョコしか用意できない私より、あの子たちの方がよっぽどストレートに感情をぶつけている。
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