渋谷凛「テレフォンパンチ」
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6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/02/13(木) 01:34:35.83 ID:YwNItfWC0

程なくして目的地に着いた私は、左手首を返して腕時計を見やる。

時刻は待ち合わせの十五分前を示していた。

ちょっと、早く着きすぎたかな。

どこかで軽く時間でも潰そうか。

そう思って、周囲を見渡したとき、視界の端で小走りで駆け寄ってくるスーツ姿の男が見えた。

プロデューサーだ。

「早いね」

「うん。余裕を持って着こうと思って」

「じゃあ約束の時間よりちょっと早いけど」

「うん。行こっか」

彼は肩を軽く回し「よーし」と張り切っている。

今日、私たちは世界各国のチョコレートが集まる催しに来ていた。

大義名分はもちろん、お世話になった人々へ贈る義理チョコの調達なのであるが、私とプロデューサーの間でそれが建前となって、もう随分久しい。

毎年毎年、こうして連れ立ってチョコレートを物色している内にいつの間にか自分たちが楽しむことに比重が置かれるようになっていた。

けれども、購入すべきものは購入しているし、悪いことはしていない。

そんな後ろ暗さがないことが、さらに私たちが羽目を外すのに拍車をかけた。



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