29: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 01:13:56.52 ID:CDwt0mRk0
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酸っぱいにおいと、むせかえるような不味さと、ただただ不快な感触が、喉の奥から唇の端、鼻の中までいっぱいに詰まる。反射的に口元を抑えたけれど、すぐに半固形のゲロはぼくの指のあいだから絨毯へと零れ落ちていった。
片付けなきゃ、とか、洋服が、とか、病院にいかないと、とか。そんな発想はぜんぜん浮かんで来なくて、ぼくはまず、とにもかくにもPサマに連絡しなきゃって思った。連絡して、ごめんなさい、お仕事いけないです、って。
それはまったくプロ根性なんかじゃあなかった。仕事に穴をあけちゃいけないからなんて理由はこれっぽっちもない。ぼくはただ、極めて自分勝手な理由、本当に本当にお仕事に行きたくないということを泣き言として吐き出したかっただけ。
やだ。やだやだやだ。もういやだ。
アイドルなんかやりたくない。ならなければよかった。ぼくには無理だったのだ。初めからわかっていたことだ。なのに夢を見てしまった。それが間違い。運の尽き。
ぼくは尊くない。誰かに夢や希望や熱狂や感動を届けることができない。だってほら、こんな状況になったって、ぼくはぼくのことしか考えてないんだから!
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