39:伊丹 [sage]
2020/02/08(土) 21:04:09.96 ID:2EYiqEug0
そんなとき、小さく見えているゴールテープの先からひときわ大きい声が聞こえる。
目を上げてその声の方を向く。
劇場の娘たちが大きな声で、私に声援を送ってくれている。
琴葉さん、百合子、桃子ちゃん……ああ、皆いる!
でも、わたしが探してしまったのは、彼の姿。
ーーすぐに見つかった。
いつもの、スーツ姿だったから。
手に持ったタオルを振って、
彼が、繰り返し、繰り返し、何かを叫んでいる。
ーーー前だけ見て走れ!紗代子!
聞こえた。
たくさんの声援の中、彼の言葉を、
私は確かに、聞いた。
これさえあれば、わたしはーーーっ!
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