26: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:32:44.40 ID:W4W9+UtG0
19
翌日の放課後
木犀浪学園・大校舎2階・奏の教室
昨日、かな子が一緒に行きましょうか、と聞いてきた理由がわかったわ。
「速水さんが『可愛いもの愛好会』ですか。ははっ、意外にもお可愛いことで」
「白雪さん、私を何だと思ってるのかしら」西園寺さんに部室に案内して欲しいという話をしたら、たまたま聞いていた白雪さんにからかわれた。
「別に。ちょっとイメージと違っただけです。ファンが落胆しますよ、少女趣味は」
「それは残念ね、期待に応えられなくて」ファンって誰よ、白雪さんの頭の中以外に存在するのかしら。それに、勝手に特別視されても困るだけ。イメージ戦略をしてるわけじゃないから心配いらないわ。
「千夜さんも一緒に見学にいらっしゃいませんか?」
何故か、西園寺さんが白雪さんに提案する。いつも通りの穏やかな口調と笑みで。
「お誘いは嬉しいのですが、申し訳ありません。これから予定がありますので」
「用事?何かあるのかしら」白雪さんは部活には所属していなかったはず。そうなると、聞かない方が良い用事だったのかしら。
「茶道部にお邪魔します。さようなら」
「茶道部、雪乃さんのところですわね。楽しんできてくださいな」
「なるほど、ね」やっぱり、白雪さんは同部屋の先輩には弱いみたいね。聞かない方が良い用事ではなくて良かった。
「残念ですわ。雪乃さんから小さなぬいぐるみを大事にしていると聞いたのですが」
「そうなの?」あら、可愛いところもあるじゃない。かな子にお願いして、相原先輩からお部屋に招いてもらおうかしら。
「幼少の頃から大切にしているものだそうですよ」
「それは……」部屋に行くのは辞めておきましょう。その行為の意味をわざわざ聞きたくないもの。
「奏さん、何かおっしゃいました?」
「何も言ってないわ。西園寺さん、さっそくだけれど部室に案内してもらえるかしら」
私が干渉する側になってもいけないわね。それは時には必要かもしれないけれど、今の白雪さんは違う。
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