24: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:31:23.92 ID:W4W9+UtG0
17
学生寮・2号館・343号室
「奏さん、これをどうぞ」
「ありがとう、いつものやつね」母親から来たメールに定型文を返信しようとしていたら、かな子が数枚の紙を渡してくれた。文字や絵がプリントされているが、素人が作ったもの。部活の勧誘ビラ、4月に印刷しすぎたのかしら。
「奏さんがお風呂の時に、琴歌ちゃんとかが渡しに来たんですよ」
「考えておくわ。『可愛らしいもの愛好会』ねぇ……」西園寺さんはふわふわとした名前と活動内容の部活に参加してるみたい。ちょっと意外ね。参加するのなら、これぐらいの部活が限界。水本さんの管弦楽部みたいに、運動部でなくてもハードなところは多いもの。
「何か気になる部活はありました?」
「別にないけれど……」西園寺さんが持って来た勧誘ビラには何枚か写真があった。『可愛らしいもの愛好会』らしくクマのぬいるぐみが並んだ写真、その後ろ。歴史を感じる木製の棚に、気になる物がった。
「奏さん?」
「かな子、ちょっと来て」かな子を呼び寄せて、勧誘ビラの写真を見せる。
「わぁ、大きくて可愛いぬいるぐみですね♪」
「それは同感だけれど、その後ろ」かな子の様子を見ていたいけれど、本題に移る。
「えっと、人形ですか?」
「そう。かな子はこの人形を見たことあるかしら?」私は、今日だけで2回も。
「えっと、ないと思います」
「校内に飾られたりしてないの?」
「してないと思いますけど……」
「そう……」考えたところで答えはでない。人生経験も知識も不足しているし、それに転校して1ヶ月だもの。わかるわけないわ。
「かな子、この部屋どこかわかるかしら」学園のどこかにある部屋。『可愛いらしいもの愛好会』の部室と思われる部屋。
「わかりません。琴歌ちゃんに聞いてみたらどうですか?」
「……そうするわ」このままだと気分が悪いもの。
「私も行きましょうか?」
「大丈夫よ、明日にでもクラスで聞いてみるわ」『可愛いもの愛好会』に入部する気はないけれど、見学くらいなら。西園寺さんなら事情も深くは聞いてこないでしょうし。
誰でも何でも、私に不躾に干渉してくるのは許さないわ。
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