21:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:53:30.08 ID:uct5lrwh0
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少女のかけた魔法によって、ゴーレムは目覚めた。
ゴーレムは少女を守った。
世界に平穏が訪れた。少女とゴーレムは世界中を旅して回った。
そんな冒険から数十年後、別れは訪れた。
人ならざる者と心を通わせ世界を旅した女性は、その巨大な友人に見守られながら生涯を閉じた。
魔法を与えてくれる存在を喪い、ゴーレムは動かなくなった。
事情を知る者が様々な魔術を施して動かそうと試みたものの、うんともすんとも動かなかった。
やがて人間の女性を心を通わせたゴーレムを知る者は、みなこの世を去ってしまった。
月日は止まることなく流れ、彼女とゴーレムの冒険を記した書物さえすべて朽ちていった。
けれども何十年、何百年もの時が流れても、ゴーレムはそこにいた。
もはや人々にとっては、なんのためにそこにあるのかわからない、土でできた謎の構造物でしかなかった。
その正体が何であるかを理解できる者は、もう誰もいない。
ゴーレムが彼らに自らの存在や大切な友人との思い出を語る術も、もう残されていない。
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