芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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40: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:24:13.83 ID:hoMUvMIQo

 最後に零したその言葉が、どうやら合図だったらしい。

 次の瞬間、ぽつり、とフロントガラスの真ん中あたりに砂粒みたいな水滴が一つ分だけ落ちてきた。
 それが二つ、三つと続いて、数秒足らずのうちに視界は無数の雨粒で覆われる。
 光の屈折のせいか、仄かに白い輝きをまとった水玉模様はまるで真冬の星空みたいだった。

 見慣れたワイパーが水色の跡を綺麗に拭い去る。
 すると、その先端に押し溜められた水分が、湾曲した表面上を風に煽られて斜め下に引っ掻いていく。
 そうして伸びた透明な直線が一つ、二つ、三つと、流れ星みたいに次々と灰色の星空を横切っていった。

 雨だ。




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