芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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32: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:17:52.62 ID:hoMUvMIQo

 想像上の場面を色々と切り替えてみる。
 照り付ける太陽と青空の下。あるいは真夜中、下弦の月を反射する水面。
 それから、しとしとと降り続く雨を呑み込む広大な黒。
 だけど、いずれにしたって、その姿はまるで不自然な合成写真みたく風景に浮いていた。
 海ではしゃいでいる様も、海を遠く眺めて黄昏る様も、同じくらいに似合わない。

 笑いながら、私は言う。

「わたし、プロデューサーの私服姿がどんななのか知らないし、だから候補が見慣れたスーツ姿しかなくて、そのせいで面白おかしい感じになってるような気がするっす」
「なるほど。間違いなくそれだな」

 彼は納得したように頷いた。

「今度、写真見せてやろうか? 何枚かあるぞ」
「えっ、何でそんなの持ってるんすか」
「勘違いするな。はづきさんとか社長とか、社員のみんなで飲みに行った時に撮った写真だ」
「びっくりしたっす」

 私はわざとらしく安堵の息を吐いて、それから続ける。




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