芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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106: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:05:21.49 ID:hoMUvMIQo

 しかしどういうわけか、いまだけは何かを誤魔化そうという気にはなれなかった。

 私にとって、それはとても不思議なことだった。
 だって、ずっと目を逸らし続けてきた言葉なのに、こんなにも容易くこの右手が触れてしまいそうだったから。

 思い出せなかったんじゃない。
 思い出したくなかっただけだ。

 あのとき、プロデューサーが何て言ったのかなんて、私は最初から知っていた。

 私は小さく息を吸って、心の深くに手を伸ばすようにして言った。




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