高山紗代子「敗者復活のうた」
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58: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:15:58.93 ID:ck9R+qDf0
 最初は――そうこの時はそう言っていた弟も、次第に紗代子が揺るぎなく本気でそう思っている事を思い知る。
 夜間のランニングは、その日だけにとどまらなかった。
 時間こそ一時間ほどと決まっているが、次第に遠くまでランニングに行くようになる。そして、走る速度が上がっていく。
 一週間で彼は、姉に頭を下げる。

「姉ちゃん。お金貸して欲しいんだけど」

紗代子「えっ? 何に使うの?」

「自転車」

紗代子「?」

「もう姉ちゃんに、走ってついてくの無理。ママチャリなら1万ちょっとで買えるから」


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