51:名無しNIPPER[saga]
2020/01/01(水) 10:17:19.98 ID:12PeC/pS0
「今日は父の命日なんです。あの人は毎年この日に訪ねてきて私たちは慰謝料を払い続けています。」
初枝がこの家を訪ねた理由は金銭にあった。
先程初枝が持っていた封筒、あの中に現金が入っていたのだろう。
確かに事情を知れば譲の父親に非はあった。
だがそれはもう何十年も前の話だ。それに息子の譲がこの慰謝料を払い続ける義務などあるはずもない。
「しかし何故お金を払い続けるのですか?
失礼ながら離婚の問題はあなたのお父さまによるものです。息子であるあなたには非などありませんよ。」
「確かにそうなんですが…うちにはさやかという高校生の娘がいまして…」
下手に揉め事となれば娘のさやかに害を及ぼす恐れがある。
大学進学を控えている娘の将来をこんなことで台無しにするわけにいかない。
だから夫妻も嫌々ながらも初枝を招き入れてお金を払うしかなかった。
右京は玄関前に飾られてある家族写真を見つけた。
そこには夫妻の真ん中に高校の制服を着た少女が写っていた。恐らく娘のさやかだろう。
三人は満面の笑みを浮かべながら幸せそうな顔でいた。
まさに理想の家族がそこにいた。
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