43: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:40:10.86 ID:86FQdztyO
「今日の朝ご飯はね、甜花ちゃんが作ったんだよ!」
「にへへ……甜花、頑張った……」
食卓に並べられた料理は、盛り付けはそこまで上手とは言い難かったが。
けれど味噌汁はきちんと出汁が取られ、白米も柔らかくしっかりと作られたものだった。
味の方は勿論、とても美味しい。
前までは料理なんてするイメージはなかったが、いつの間にこんな上達したのだろう。
「凄いじゃないか甜花、勉強したのか?」
「……それは、その……千雪お姉ちゃんに……」
「ふふ、それでも頑張ったのは甜花ちゃんよ? 私、今日は全然お手伝いさせて貰えませんでしたから」
「……甜花が、一人で……お兄ちゃんに、褒めて欲しかったから……」
「そっか。ありがとな、甜花」
軽く撫でると、心地良さそうに甜花は目を細めた。
次女である甜花は普段はグータラしているが、やる時はやる子だ。
実際目の前の料理は、ほんの数日程度で作れるレベルの味ではない。
盛り付けがもう少し整っていたら、作り慣れている千雪の料理と勘違いしていたかもしれないレベルだ。
「いーなー。甘奈も撫でて貰いたいっ!」
「それじゃ……お夕飯は、なーちゃんが作って?」
「うんっ! お兄ちゃん、めーっちゃ期待しててね!」
「甘奈が作ってくれるのか。それは楽しみだな」
元気いっぱい笑顔いっぱいな甘奈は、三女であるにも関わらずとてもしっかりとしていた。
次女である甜花と双子である為、あまり三女というイメージはないが。
活発そうな見た目と相違無く、彼女はうちの妹達の中でも一番の元気の塊だ。
見ているだけで、此方もパワーが貰えそうだ。
「モテモテですね、兄さん」
「モテモテって……」
それを言うなら、お前たち三人の方だろう。
三人それぞれが違った方向に超美人、街を歩いていれば声を掛けられる事だって少なくない筈だ。
クラスメイトどころか他クラス、なんなら先輩や後輩に告白された経験もあるだろう。
それこそモデルやアイドルのスカウトだってされた経験があるだろう。
「それにしても美味しかった。ありがとな、甜花」
「……千雪お姉ちゃんの教え方、上手だったから……」
「じゃあ師匠の千雪だったら、どんな料理になるんだろうな」
「あら? そんな風に言われちゃったら、私も頑張っちゃおうかなっ」
そう言って、千雪がキッチンへと向かって行く。
そしてあっという間に、料理を作り上げて運んで来た。
「お待たせしました〜。千雪特製、野菜炒めの完成ですっ」
「おお、美味しそう!」
お腹がいっぱいだった筈なのに、もうお腹が空いてきた。
「ふふっ、た〜んと召し上がれっ」
「……美味い! それに優しい味がする!」
「……流石、千雪お姉ちゃん……ううん、師匠……!」
「ありがとう甜花ちゃん。ハイ、ターッチ!」
ぱちん、とハイタッチを交わす甜花と千雪。
そんな光景を眺めながら食べる朝食は、間違い無く幸せだった。
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