66:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:24:55.55 ID:QXbKSZYO0
「えっ、ちよちーも北海道出身なの!?」
「はい」
「ええぇぇ、でも、そんなズルいよアーニャ!
だってさっき、明らかにロシア語っぽく「アズマァースィ〜」って流暢に言ってたじゃん!」
未央さんが訳の分からない難癖をつけ、頬を膨らませて憤慨してみせる。
その仕草のおかしさに皆が笑い、未央さんもまた楽しそうに笑った。
まぁ――お嬢様への良い土産話になったと思えば、悪くない。
この合宿で留守にする間、ずっとお世話ができずにいた。
いくら寮のサービスが整っているとはいえ、従者としての最低限の務めは――。
――?
「……北海道、覚えていますね、チヨ」
アーニャさんから感じる、潤沢な愛に満たされた心の余裕は、私には無いものだった。
それを疎ましく思ったことは無い。
卑屈な思いをさせられたことも無い。
彼女は、私に無いものを与えてくれる。何の見返りも期待せず。
ただ、その時のアーニャさんの笑顔は、なぜか少し寂しそうに見えた。
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