白雪千夜「足りすぎている」
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160:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:21:25.45 ID:1/ZkFkMM0
 普段は昼のレッスンを行う間の寮がこんなに静かだとは、それをすっぽかすまで知らなかった。

 すっかり見慣れた部屋の、ドアの前に立つ。
 呼び鈴を押しても、電話をしても、やはりと言うべきか、応答は無かった。

 この部屋に入るのも、今日が最後かも知れないな。

「……失礼致します」


 部屋の中は、ひっそりとしていた。

 まだ日が暮れるまで1〜2時間はある。
 電気をつけなくとも、カーテンを開けると陽光が部屋中を明るく照らし、改めて主の不在を私に知らしめる。


 ここで待とう。
 もし万が一お嬢様が倒れたという連絡を受けたとしても、寮からスタジオ棟の医務室へは走って5分もあれば行ける。


「……むっ」

 見慣れないDVDケースをテーブルの下に見つけた。
 中身は空だ。ラベルも無い。

 既にセットされているのだろうか?



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